アイキャッチ

困った時にしてはNGな事

データ復元が必要になった際に「やってはいけないこと」を周知できればと考えてこの記事を作成しています
弊社に寄せられる案件のなかでも、とくに昨今では「これさえやっていなければもっと沢山復元できたのに」という悔しい事例が増えてきております。

原因はやはりインターネット上に反乱する断片情報だけに期待をこめてお手元で不適切な作業を進めてしまったがゆえにメモリ状態を悪化させる結果につながっているものと考えられますので、ここれは重点的に「やってはいけないこと」を啓蒙できればと考えます。

対象のカード等に書込むのは絶対NG

まず、なぜ上書きしたらダメなのか?という説明が必要かもしれません。

メモリを器に例えると、その器にはつねに1つの値しか入ることはできません。そしてすでに内容が入っている器に対して別の新しい内容を入れると、以前の内容が押し流されて消え去ってしまうことになります。

メモリ上書きが起こったときの図

復元するべきデータの記録痕跡は上記の図よりはるかにたくさんの器のなかに記録されていますが、その器に対して別のデータを書き込んでしまうことで本来取り出したいデータが失われてしまうことになるからです。

失われてしまったファイルのサルベージ作業は基本的になんの地図も無い状態(ファイル管理領域の情報が消失している状態)で全てのメモリ空間をたどっていく地道な作業になります。

このとき手がかりとなるのはメモリ空間に残されているファイルヘッダーなのですが、そこからEOF近辺までは連続したメモリ空間に存在してくれていることが救出の第一条件になります。
しかし、わずかな上書きでもメモリ空間のあちこちに点在している場合にはファイルとして再構築したデータの中身に別のデータが混入してしまうことになり、例えば写真データであれば途中から崩れて見えなくなっていたり、動画データだと再生中に映像が止まってしまうといった壊れたデータが大量生成される結果になってしまいます。

そのため、特にカード容量いっぱいまで保存されていたようなSDカードのデータ復元というのはちょっとした上書きであっても影響を与える確率が高くなるため、慎重のうえにも慎重な対応が必須になります。

顕著な例としてはドライブレコーダーでご利用のカードがそれにあたり、非常にわずかなメモリ空間から記録されていたののの断片をかき集めないといけないことも多いので、できるだけパソコンやスマホへの接続はさけていただきたいところです。

スマホ等に接続するだけで上書き進行

ここ数年では利用者側の認知も非常に広がってきたとは感じるのですが「上書きしたらだめ」という点の理解についてまだ多くの誤解があるようです。

その1つが「上書き」というのは追加で撮影する行為だけでしょう?というもの。
実際には「撮影」「修正」「削除」「初期化(フォーマット)」といった操作が上書き行為にあたるという部分までは比較的上級者さんは理解されているのですが、さらにパソコンやカメラ・スマホなどの機器にSDカードなどをセットするだけで操作しなくても勝手に上書きが発生します。

なぜ操作しなくても上書きされるのかと言うと、パソコンOSやカメラ・スマホなどの機器がカードやファイルを管理するための情報が不可視属性で書き込まれるからです。

初期に書き込まれる図
上の図はすべて全く無操作の状態で、カードを接続しただけで自動的に書き込まれた結果です。

ここで少し余談ですが、
これは過去に実際にあった事例ですが、事前に某大手復元会社に預けたものの料金面でおりあわずキャンセルしたSDカードと言う事で弊社にお寄せいただいたものの、どう考えてもそのカードが某社に預けられている間に一般のWindowsパソコンで書き込んだというタイムスタンプを持ったファイル痕跡が出てきたということがあり驚きました。
具体的にはWindowsPCに新たに接続されたSDカードやUSBメモリに対して必ず書き込まれる不可視属性のファイル記録痕跡でした(例えばSystemVolumeInformationReadyBoostといったファイル名になりますので詳しい方はご覧になったこともあるでしょう)

それらのファイルが復元前のカードに書き込まれていたということは、データ復元のプロであるはずの大手業者さんが顧客から預かったカードを普通にWindowsパソコンに無防備に接続し、本来やってはいけないメモリ上書きを復元前のSDカードに対して行っていたという驚愕の事態でした。

自動的に上書きされるのを防止する方法

通常のパソコンにUSBメモリやSDカードを接続する場合に完全に上書きを予防する方法は存在しないのですが、一般的なSDカードについてはカード側面にある書き込み禁止スイッチを「LOCK」側にスライドしておくことである程度の抑止は期待できます。

ただしこれも万全ではなく、カードリーダーの種類によってはそもそもこのスイッチの状態を無視して書き込めるものも少なくありません。特に小型のカードリーダーや極安価で販売されているカードリーダーを使っている場合には書き込み禁止スイッチが無視される可能性も高いことを頭の片隅にいれておきましょう。

カードリーダー写真
(上の写真はLOCKのスイッチの状態を検知する構造が省略されているカードリーダーの例)

なお、USBメモリやmicroSD、外付けHDD/SSDなどではそもそも書き込みを禁止するようなスイッチなどはありません。

過去にはWindowsのグループポリシーエディタやレジストリを改変することで自動的に上書きされる動作を抑止することもできたのですが、ここ数年にあったアップデートとともにレジストリなどを操作しても抑止ができなくなっています。

また、それ以外にも物理不良起因で動作不安定となっているカードの場合には、電気的な接続を繰り返すだけでも内部の状態が悪化しつづけるような事例もあります。そういったこともあるためパソコンなどに接続することは最小限の回数・時間にとどめておくことが無難であるのは間違いありません。

つまり、復元ソフトを試そうとしてパソコンにUSBメモリやSDカードを接続すると、その瞬間にもう復元確率が低下するということになるのが現状なのです。

よくある失敗事例

ここでは、お手元でいろいろと試してみた・これから試してみようとされる方に対して「これだけは致命的だから避けましょう」という内容を書きますので、なにかの参考にしていただければとおもいます。

もとのメモリに書き込んではだめ

復元ソフトによる不完全なファイルをもとのメモリに書き込んではいけません。

よくあるのが、ファイル名やサムネイル表示だけは正常そうにみえて実際に開くと再生できないような不完全なファイル。
とく簡易な復元ソフトの場合ファイル名やフォルダ名だけは正常に取り出せているものの、個々のファイルの中身をダンプしてみるとエンベロープもなにも存在しないでたらめな状態。管理用情報と実記憶領域との不整合があるのにまったくノーチェックであたかも正常に復元できたと装う種類の復元ソフトを使った場合に起こる事例です。

これは結論から言うと復元に失敗しているため、いくら頑張っても閲覧できる状態にもどすことはできないのですが、もとのメモリに書き込んだら閲覧できるのではないかという期待をして書き込んでしまう事例があとをたちません。
しかし、そのような場合にもとのメモリに書き込んでしまうと復元できたはずの記録痕跡をごっそり上書きしてしまうことにつながりますし、当然ながら壊れているデータをもとのメモリに書き込んだところで正常に戻るなんてことはありません。

特に動画データの場合にはそのような事例が非常に多くみられます。基本的に動画データの完全な復元というのは復元ソフト単体では非常に困難でありほぼできないと思っておいたほうが良いでしょう

しかしネットを探してみると、たとえば「拡張子を書き換えればよい」とか「フォルダを移動させればよい」などといった的外れな情報も多く見られることから、そのような断片情報だけを鵜呑みにして試行錯誤した結果、より復元が困難な状態へとメモリをかき回してしまう結果になっているものが寄せられてきます。

チェックディスクの実行は避ける

古参のパソコン上級者さんであれば「なにかストレージにトラブルがあればchkdskコマンドを実行する」というのが意識に染み付いているかもしれません。あるいはOSの再起動時に自動的にchkdskの修復画面に移行した経験をお持ちの方も多いでしょう。

これを書いている私自身もHDD全盛時代にはずいぶんと助けられたものです。しかしいまや、このchkdskを実行することは広範囲の上書きを進行させる要因になるためとてもおすすめできません。

もともとはファイル管理領域の情報が不整合を起こしたときに、まず壊れた情報を切り捨てて不整合を修復し、切り捨てられた情報について辿れる場合には独立したファイルとして残すという動作をしてくれていたのですが…

ご存知の通りいまどきのSDカードやUSBメモリはフラッシュメモリ媒体です。その特徴としてはたとえファイル名を付け替える程度のわずかな動作であっても広範囲のメモリ領域までひとくくりで書き直す動作になりますから、動作不安定なメモリを相手にした場合には復元できるはずの情報をごっそりと消し去ってしまうことにつながります。

ですのでけっしてchkdskを安易に実行してしまわないようにくれぐれもご注意ください。

不具合を起こしたカードは再利用しない

ここから先は復元作業が終わったあとの話になりますが、一度でも「カード異常」「フォーマット」を促されるような症状、あるいはファイル名などの情報が壊れたりデータそのものが壊れてしまう症状が出たカードの扱いについてです。

結論から言うと、一度でも不具合を発症したカード類は仮にフォーマットなどの作業で正常にもどったように見えても、ふたたび短期間で不具合が発症する可能性が高まっています。
これは、フォーマット処理では不具合を起こしたメモリ部分は残されたままなので、使い進めるうちに不具合メモリ部分にたどり着いてしまい再びデータ破損が発生するからです(ちょうど、不具合領域に差し掛かったときに他の領域まで巻き込んで器の底が抜けてデータが流れ落ちてしまうような印象です)

メモリ破損が起こったときの図

フォーマット作業では搭載されている全メモリが正常にデータ書き込み&データ保持ができるかどうかは確認しません。

そのため、フォーマット処理が完了したとしても、上記の図のように新たにデータを書き込みつづけているうちに不具合を起こす領域にさしかかってしまうことになり、その途端に他のデータも巻き込んで壊れてしまうという結果を誘発します。

ですので、なるべくならば不具合を起こしたカードを再利用することは避け、新たにカードを買い替えることを強くおすすめしております。

安全な作業を実施します

お客様ご自身で復元ソフトを使用したり、店頭でパソコンを使ってすぐに検査結果を出すような簡易な復元業者ではどうしても前述に説明したようなデータ破損リスクが伴います。

弊社では豊富なデータ復元ノウハウを持ち、1件でも多く大切なデータを復元できる体制を整えていることから安心安全な復元作業を実施できます。

サービス詳細はこちら

メモリーカードデータ復元サービスご案内

メモリーカードデータ復元サービス@株式会社パソコントラブル救助隊

»»» サービス詳細


SDカード/USBメモリをはじめどのようなメモリーカードからのデータ復元にも対応しておりますのでお気軽にご相談ください。


プライバシーを尊重します

  • 弊社では復元作業時に記録内容の閲覧が必要な作業工程はありません。そのため撮影内容などが作業担当者の目にとまる心配はありません。
  • ご報告はメールまたはお電話となりますが、特に指定がなければメール優先とさせていただきます。
  • 納品時には「郵便局留め」や「ヤマト運輸営業所受け取り」を任意にご指定いただくことも可能ですのでお気軽にお申し付けください。
  • 納品後は最長1ヶ月間のみ作業記録を保持します。納品内容をご確認いただいた旨をお知らせいただければ即座に作業記録を抹消いたします。