フォーマットしないとどうなる?
ドライブレコーダーでご利用のSDカードは定期的にフォーマットする必要があります。もし定期的にフォーマットせず使い続けているとどういう悪影響が出るか、実際にそういった事例を目の当たりにする機会が多いので解説をいたします。
フォーマットとは?
SDカードの「フォーマット」とはいったい何か、言葉はよく耳にするものの具体的にその中身をよおく知っているよという方はよほど機械に詳しいかただと思います。とりあえずフォーマット=全てを消去する、という認識が一般的だと思うのですが、通常はこの認識で問題ないと個人的には思っています。
ただ、たとえばSDカードの中身をPCなどを使って全消去すれば同じかと言えば実は大きく違い、全消去ではファイルとしてアクセス可能なものしか消す事ができず、消しきれない部分が残ってしまうことがあります。
それに対してフォーマット処理はファイルなど関係なくすべてを綺麗に消し去ってしまう動作になるため、アクセスできない不完全ファイルが残っているメモリ領域も全て初期状態にしてしまう動作となります(多少、説明を純化しています)
そのため、ゴミデータなどで圧迫され短時間しか記録できなくなりがちなSDカードでも、フォーマットをすることでSDカードの容量をちゃんと使える状態に戻すことになります。
フォーマットしてない怖い例
定期的にフォーマットしないことで発生するリスクを知っておいてください。どんなに高価で高性能なドライブレコーダーを使用していても、いざという時に録画した動画データを見ることができない、または正常に記録されていなかったという事になると宝の持ち腐れになります。
(事例1)
衝撃感知録画のデータがたまったまま
これはわかりやすい事例です。本来は衝突時の衝撃を感知したときに前後の映像を保護フォルダに格納するという機能ですが、センサー設定が絞り込まれておらず走行時のわずかな段差でも記録が保護状態にされてしまう事があります。
保護領域といってもSDカードの中でフォルダ分けをしているだけですので、溜まっているデータを長期間放置していると通常記録に使用できる領域がどんどん圧迫され続けてしまいます。
(事例2)
不完全ファイルが大量にたまっている
こちらはちょっと解りにくい状態ですが、記録途中に電源が落ちてしまったりなんらかの不調によってカードへの書込み動作が完了せず、動画として完成していない不完全な一時保存ファイルが大量に残されてしまっていることがあります。
不完全ファイルに不可視属性がついている場合もあり、パソコンを使用しても発見しずらいことがあります。これもやはり通常記録に使えるはずの領域を圧迫する原因になります。
(事例3)
破損ファイルが溜まっている
こちらも原因としてはファイル記録が完了しないままなんらかの原因で処理が止まってしまったことが原因と推測されますが、前述までの事例とは違ってファイルとして存在していないことが厄介です。
ファイルとして存在しない扱いになっているためPC上で空き容量を見ると充分すぎるほど記録領域が空いているのに、実際には書き込める領域が圧迫されているという不思議な現象が発生していることもあります。
(事例4)
アクセスできない領域が発生している
これは物理的破損の側面も持っていますが、記録済みの特定のファイルが意図せず消去できない状態になっていることがあります。
特にファイルが保護設定されているわけでもないのですが、アクセスが正常にできず再生も削除もできないものが溜まりつづけていくことも稀にあります。これは記録できる領域を圧迫する原因になるとともに場合によってはカード破損の一歩手前の症状でもあるため、もし発見したらすぐにでもカード交換をおすすめします。
記憶域が圧迫されるとどうなる?
前述の事例のように、記録できる領域が圧迫されている状況だとどういう事が起きるのか?ということも念のために書いておきます。たとえば、カード全体で24時間分の録画データを保持しておけるものを使っていたとして、事例1~4のような状態で記憶領域が圧迫されてくると、あとの残った領域で繰り返し繰り返し上書き録画を続けることになります。
これが例えば残った領域が1~2時間分くらいまで減ってきてしまうと、軽微な衝突事故などで事故処理を待っている間に必要な動画部分が上書きされて失われてしまうということも起こります。
また、事故に限らず少し前の状態を確認したいという場合でも、数時間ほどしか残されていなかったという事になります。
ここ数年でドライブレコーダーのメーカー側でも例に挙げたような問題があることを認識していて、高性能なドライブレコーダーでは自動的に定期フォーマットを行ってくれるものが増えてきたようです。
ただ、自動フォーマットの機能があるからといって完全に頼り切ってしまっていると、カード内部に物理的に破損しはじめている領域がある場合には検知できないなど充分に対応できない場合もあり得ます。
そのため、定期的なフォーマットと併せて定期的なカード交換も「いざという時」のためには大切です。
事故など無いことが一番ですが、万一のときにせっかくのドライブレコーダーが宝の持ち腐れになってしまわないように心がけていただければと思います。